愛知県警は2025年10月13日、名古屋市中村区において緊急走行中の救急車に財布を投げつけ、救急隊員の業務を妨害したとして、名古屋市中区に住む20歳の無職の男を公務執行妨害の疑いで逮捕しました。【画像】「えっ…」 これが本当にあった「救急車の誤った利用例」です! 画像で見る(27枚)一体何があったのでしょうか。
警察によると、逮捕された男は10月13日の午後9時10分頃、患者を搬送中で緊急走行をしていた救急車に財布を投げつけました。救急隊員が異音に気づいて救急車から降りたところ、男が大声を出しながら近づいてきたため110番通報し、男は駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されたということです。
警察の調べに対し男は、「サイレンの音がうるさかったので財布を投げつけた」などと容疑を認めています。なお救急車で搬送中だった20代の女性患者は別の救急車によって搬送され、約15分遅れで病院に到着しましたが、健康状態に問題はありませんでした。
このニュースに対してインターネット上では「いつかは自分もお世話になるかもしれないことを忘れるな」といったコメントや「搬送された方が無事で良かったですが、病状の悪化や万が一命を落とすようなことがあれば傷害罪や殺人罪に匹敵する事案だと思います」といった憤りの声が寄せられました。
またサイレン音に関して、「消防署の近くに住んでいますが、救急車や消防車のサイレン音は気になったことがないです」という声のほか、「救急車を利用したことがあるけど、サイレンの音で位置の把握もできるし自宅に近くなると安心した」などの意見も上がっています。
加えて「今の救急車のサイレンは以前よりずっと静かになりましたね。深夜でもあまり響き渡らないし微妙に音質が改善されているのでしょうか?」という声も聞かれました。
実は緊急自動車のサイレン音をめぐってはこれまで、「音がうるさい」「住宅街では音を消してほしい」などの苦情・要望が各地の消防局にたびたび寄せられていました。
しかし緊急自動車のサイレン音の大きさは、「自動車の前方20メートルの位置において90デシベル以上120デシベル以下の音量」と法令で決められており、この基準より下げることはできません。
そのような状況の中、従来のサイレン音に和音を重ねてソフトな音質に変えた「コンフォートサイレン」が開発され、多くの救急車に導入されるようになりました。
深夜の出動や、閑静な住宅街などを走行する場面ではコンフォートサイレンを活用している車両も多く、以前よりサイレン音が静かになったと感じている人もいるでしょう。
また上記のようにサイレン音を気にする人がいる一方で、クルマのドライバーからは「音が聞こえにくく、運転中に気づくのが遅れる」「もっとボリュームを上げても良いと思う」といった声も上がっています。
これは昔と比べて自動車の遮音性が高くなったことや、車内のエアコンやオーディオを使用していること、緊急自動車と自分の車両との位置関係によってサイレン音が聞こえにくくなることなどが原因と考えられます。
消防局によっては、救急車が交差点に差し掛かった際にあえて不協和音を発するサイレンを鳴らし、周囲の車両・歩行者に注意を呼びかけるケースもあります。このように、消防隊員は住民とドライバーの双方に配慮しながら業務に当たっているといえるでしょう。
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各ドライバーは緊急自動車の接近に気づけるよう、オーディオ音量を控えめにする、窓を少し開けておくといった対策をとることが重要です。
もし運転中に緊急自動車が近づいてきた場合、「交差点またはその付近」であれば交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止、「それ以外の場所」であれば道路の左側に寄って進路を譲るようにしましょう。