「下水の臭いがするから、窓は開けるな」夫が“隠していたモノ”の正体は…ベランダに「元恋人の遺体を隠しながら」妻と暮らしていた“28歳男性の異常性”(平成29年)

「下水の臭いがするから、ベランダの窓は開けるな」

 28歳の夫が妻に“ひた隠しにしていたモノ”の正体は……。2017(平成29)年に関西地方で明らかになった「殺人事件」。ベランダで見つかった白骨死体の正体は? そして捜査が進むにつれてわかった「犯人男性の異常性」とは……? なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/ 後編を読む )【写真】この記事の写真を見る(2枚)◆◆◆

 その事件は、家賃を滞納していた藤本孝明(当時28)のワンルームマンションに、不動産業者が立ち入ったことから発覚した。

 藤本は月4万2000円の家賃を数年間滞納していた。家賃の保証会社が変わって、悪質な滞納者については督促に乗り出すことになり、藤本と一向に連絡が取れないので、社員2人が明け渡し作業のため、部屋の中に入ることになったのだ。

 すると、ベランダに異様なものが放置されていた。毛布に包まれ、耐え難い臭いがする。中を開けると、それは下着姿の女性の白骨死体だった。

「ヒィーッ!」

 業者は直ちに110番通報。警察の捜査は初動から大きく動いた。なぜなら、部屋の中に「7年前に彼女を殺した。心中しようと思ったが、自分は死にきれなかった」というメモが残されていたからだ。
「家賃を滞納していたぐらいだ。金銭的な余裕はないだろう。そう遠くへは行っていないはずだ」

 警察は捜査の網を縮めていき、3週間後に現場から約1キロ離れたファストフード店で食事をしていた藤本を発見した。その場で任意同行を求め、殺人容疑で逮捕した。

 被害者は藤本が高校時代から付き合っていた1学年上の永田江利佳さん(死亡時21)と分かった。江利佳さんは事件直前まで生活保護を受けていたが、藤本と同棲することになり、藤本と一緒に地元の区役所を訪れてから行方不明になっていた。
藤本の供述によると、それから1週間後に江利佳さんが「もう生きていたくない。殺してほしい」と言うので、首を絞めて殺したという。

「オレは江利佳の希望通りにしただけ。江利佳の望むことなら何でもしてやりたいと思っていた。最初は死体を風呂場に置いていたが、臭いが気になるようになり、ベランダに移した」

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