ここ最近、いかに「時短」するか、に重きを置くものが多く、ドラマや映画、アニメなどを倍速で観る人もいます。その影響もあってか、近年、1話当たり3分から5分ほどのショートアニメが「すきま時間に観られる」「倍速にしなくてもちょうど良い長さ」と評判です。【衝撃】え、開始20秒で死亡!? 1話から衝撃的だった『ミルキー☆サブウェイ』を見る(6枚)そして、ショートアニメでありながら、短い時間のなかで物語を完結させる構成力やテンポの良さが評価されている「ショートアニメとは思えないほど濃密な作品」も少なくありません。
●クスッと笑える会話劇はショートアニメの枠を超えた完成度
アニメ『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は、3DCGアニメーション作家の亀山陽平さんが2022年に個人制作兼卒業作品として手がけた『ミルキー☆ハイウェイ』の続編シリーズで、2025年7月に放送されました。
本作は2020年代の地球外世界を舞台に、銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間「チハル(CV:寺澤百花)」とサイボーグ「マキナ(CV:永瀬アンナ)」が、同じく警察に捕まったキャラとともに、奉仕活動として惑星間走行列車「ミルキー☆サブウェイ」の清掃を命じられるところから始まります。
マキナ、チハルをはじめとするユニークなキャラたちの会話劇が本作の大きな見どころで、ロートーンのボケとツッコミの応酬が話題となりました。また、列車のなかで起こる陰謀が後半に明かされ、ショートアニメとは思えない展開と緊迫感が多くの視聴者から好評です。
某カードゲームアニメの有名な次回予告を模したパロディや、シュールな笑いも盛り込まれており、ちょうどいい緩急がSF設定と軽妙なユーモアをうまく融合させています。その絶妙なバランスが、本作の魅力をいっそう際立たせていました。
●人気漫画家がまさかの乳牛スタイル?
酪農と畑作を営む農家に生まれ、自身の農業経験をもとに描かれた荒川弘先生のエッセイマンガを原作とするアニメ『百姓貴族』は、ショートアニメながらこれまで2シーズン制作されており、現在3期となる新シーズンが放送中です。
乳牛姿の「荒川弘(CV:田村睦心)」先生本人が主人公となり、畜産や農作業の過酷さをユーモラスに描きます。作中では、牛乳の味が飲み水や飼料によって変わること、生産抑制によって牛乳を廃棄せざるを得ない状況があることなど、実際の農業の現場をコミカルに紹介しており、学びのある内容として多くの視聴者に支持されています。
荒川先生の過去作『鋼の錬金術師』や『黄泉のツガイ』とは違い、どちらかというと『銀の匙 Silver Spoon』に似た雰囲気を感じます。編集者「イシイさん(CV:本多真梨子)」とのインタビュー形式で進行する1話約4分の軽快なテンポも魅力で、何度でも見たくなる作品といえるでしょう。
アニメ『百姓貴族 3rd Season』は、TOKYO MXにて毎週金曜日夜21時54分から放送中です。
●ホラーなのに怖さを感じないスピンオフアニメ
人気作『地縛少年花子くん』のスピンオフアニメ『放課後少年花子くん』は、主人公で幽霊の「花子くん(CV:緒方恵美)」とヒロイン「八尋寧々(CV:鬼頭明里)」の穏やかで楽しい日常生活を描いたショートコメディ作品です。
学校の放課後を舞台に、テンション高めの掛け合いが繰り広げられ、リズミカルな会話とオチのテンポが魅力となっています。原作アニメ『地縛少年花子くん』では邪悪な怪異と戦う展開などがありましたが、本作では1話約10分の短い尺でキャラたちの日常が丁寧に掘り下げられています。第1話のトイレ掃除をはじめ、怪異だけがひく怪異風邪に花子くんがかかってしまうなど、毎話ユニークなエピソードが展開されました。
本編よりも笑いの要素が多く、ゆるやかな空気感のなかでキャラの新たな一面を楽しめる内容です。視聴者からは、「癒やしを感じた」との声が多くあがり、ホラーの世界観に温かみを添える作品として人気を集めています。