「私は取り調べを拒否します」と書かれたTシャツを大阪府警に没収されたとして、弁護士らが起こした民事裁判の第1回弁論が開かれ、取り調べを受けた被告が原告として法廷に立ち、「Tシャツが手元にあれば勇気をもって黙秘できた」と述べました。
訴状によりますと、50代の被告は去年12月、自宅に介護が必要な母親を残して家を出たとして保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕され、大阪府警・羽曳野署に留置されます。
弁護人として付いた松本亜土弁護士から、「私は取り調べを拒否します」と書かれたTシャツの差し入れを受けましたが、警察官に「メッセージ性に問題がある」として取り上げられたということです。
被告と松本弁護士は「意思表示の手段を奪われ、黙秘権を侵害された」などとして、7月、大阪府に賠償を求める民事訴訟を起こし、23日、大阪地裁で第1回弁論が開かれました。
保釈中の被告本人が原告として法廷に立ち、「心の支えだったTシャツを奪われた。取り調べの時には気が動転して落ち着いて話すこともできなかった。シャツが手元にあれば私は勇気をもって黙秘できた」と述べました。
松本弁護士も原告として法廷に立ち、「私がTシャツを差し入れたのは警察を挑発するためではない。容疑者には黙秘権の侵害で、私にとっては弁護権の侵害だ」と主張しました。
一方の大阪府側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。