大阪市の人工島「夢洲」で開催されていた大阪・関西万博が閉幕した。4月の開幕当初は客入りが鈍かったが、「意外と悪くない」との口コミがSNSなどで広がり、最終盤は連日20万人超が押し寄せた。不安視されていた開催収支は最大280憶円の黒字となる見込みだ。【写真】万博閉幕の時にミャクミャクが起こした〝行動〟収益を下支えしたのが公式キャラクター「ミャクミャク」に他ならない。発表当時の「気持ち悪い」との批判から万博最大の〝功労者〟になった秘密は何だったのか。関係者が閉幕後も描く関連ビジネスの展望とともに探った。
万博最終日となった10月13日の夢洲会場。ミャクミャクについて、キャラの設定である「関西のどこかにある湧水地」に帰っていく演出がどこかで行われるのではないか、との観測もあったが、来場者は何ともあいまいなラストに立ち会うこととなった。
それはクライマックスの夜のドローンショーでの出来事だった。ショーが終わった午後8時半すぎ、大屋根リング上空に赤と青色を点灯させたドローンによる表現で巨大なミャクミャクがサプライズで登場。「やっほー」とミャクミャクの声が響き渡り、来場者から歓声が起きた。
「184日間、本当にありがとう。みんなは万博、楽しかったー? ミャクミャクもすっごく楽しかったよ。またどこかで会えるといいな。それじゃあみんな、サンキュー」
ミャクミャクはそう言い残すと、夜空に消えていった。永遠の別れなのか、これから湧水地に戻るのか――。多くの疑問を残したまま、いったんその場はお開きとなった。
結局、ミャクミャクはどうなったのか。閉幕直後、日本国際博覧会協会(万博協会)の関係者は「ドローンショーが一つの答え。ミャクミャクには、まだまだ稼いでもらわないといけない」と話し、不敵な笑みを浮かべた。万博会場でのミャクミャクはいったん別れを告げたが、「大人の事情」で、当面は人間の世界に居続けるということのようだ。
万博を支援してきた関西の財界関係者によると、万博というイベントでのミャクミャクの幕引きについては、万博協会も頭を悩ませていたという。2005年愛知万博では、キャラ「モリゾー」と「キッコロ」が閉幕の際に、別れのメッセージとともに姿を消す感動的なセレモニーが行われており、今回の万博でも同様の演出が検討されたが、そうはならなかった。
万博協会をはじめとした関係者がミャクミャクを「残す」ことを選択したのは、ビジネス的な理由が大きい。協会は閉幕直前の10月7日、万博の運営収支が230億〜280億円の黒字となる見通しだと発表。入場券の売上高が計画を大幅に上回ったことが主な要因だが、ミャクミャクのグッズ販売もそれを押し上げた。